魚のえらに「光なしで働ける」細菌? サンゴ礁の遺伝子が示した可能性
化学合成(かがくごうせい)
光ではなく、物質の反応から力を得て、生きる材料を作る仕組み。
バークホルデリア科(バークホルデリアか)
いろいろな細菌を含む大きな仲間分け。
メタゲノム解析(メタゲノムかいせき)
混ざった遺伝情報から、そこにいる生きものの特徴を調べる方法。
何が起きたか
研究チームは、ハムレット類(カリブ海のサンゴ礁にすむ魚)のえらを調べました。15種、8地点で13年にわたって集めた353個の試料から、約440億本の遺伝情報を読み取りました。
見つかったのは、バークホルデリア科の、これまで詳しく知られていなかった細菌の系統です。比較用の233個のえら試料のうち118個に現れ、19個の海水試料には現れませんでした。魚種や場所、年をまたいで見つかった点も特徴です。
光の代わりに化学反応を使う?
この系統の再構成ゲノムには、二酸化炭素を体の材料に変えるカルビン回路と、硫黄化合物を酸化して力を取り出す仕組みに必要な遺伝子がそろっていました。
これは、化学合成、より正確には化学合成独立栄養の可能性を示します。光合成が日光を使うのに対し、化学合成は物質の反応から力を得て、二酸化炭素から体の材料を作ります。ただし、これは魚が暗闇で食事をするという意味ではありません。えらの細菌がこの仕組みを持つかもしれない、という話です。
なぜ魚のえらなのか
えらは、水から酸素を取り込み、体から出る物質を水へ渡す場所です。呼吸や排出で二酸化炭素などが集まり、細菌に合う小さな住み場所になる可能性があります。
対象は深海の熱水域の生きものではなく、浅いサンゴ礁の魚です。硫黄を使う細菌との関係は、これまで無脊椎動物や極端な海洋環境でよく知られていました。そのため、魚のえらで同じ可能性が示されたことに意味があります。
確認できたこと
研究にはメタゲノム解析が使われました。混ざった遺伝情報から、細菌のゲノムの特徴を読み解く方法です。複数の再構成ゲノムに、炭素を取り込む仕組みと硫黄を使う仕組みがそろっていました。
えらの微生物群は、比較した海水の微生物群ともほとんど重なりませんでした。94の系統群のうち、両方に見つかったのは一つだけです。ただし、組織と海水では採取や保存の方法が違うため、比較には注意が要ります。
まだ分からないこと
遺伝子があることは、細菌が今その働きをしている証拠ではありません。えらの中で本当に硫黄化合物を使い、二酸化炭素を取り込むかは未確認です。魚に何かを与えるのか、魚の排出物を利用するだけなのか、共生関係なのかも分かりません。
次に見る点
今後は、えらで起きる化学反応を直接測る必要があります。化学分析や同位体を使う実験で細菌の活動を確かめ、別の魚でも同じ系統が見つかるかを調べます。広く見つかれば、魚のえらは呼吸の器官だけでなく、未知の微生物が暮らす場所として見直されるかもしれません。
研究論文は、プロス・ジェネティクス(遺伝学の学術誌)に掲載されています。
魚のえらに、光を使わず働く細菌?
📰 しっかり版: 魚のえらに「光なしで働ける」細菌? サンゴ礁の遺伝子が示した可能性
サンゴ礁の魚のえらから、光なしで力を作れるかもしれない細菌の遺伝子が見つかりました。
化学合成(かがくごうせい)
光ではなく、物質の反応から力を得て育つ仕組み。
遺伝子(いでんし)
生きものの体の働き方を決める情報。
微生物群(びせいぶつぐん)
目で見えないほど小さな生きものの集まり。
💡 ようするに
- サンゴ礁の魚のえらで、特定の細菌がよく見つかりました。
- その遺伝子は、光なしでエネルギーを作れる形でした。
- ただし、実際に働くか、魚を助けるかは未確認です。
研究チームは、ハムレット類という魚のえらを調べました。353個の試料を、15種、8地点、13年分集めました。遺伝情報を調べると、バークホルデリア科の細菌が特に多く見つかりました。
この細菌は、えらでは多く見つかりました。調べた海水では見つかりませんでした。えらの微生物群は、海水の微生物群とも種類の組み合わせが違いました。魚のえらには、海水とは別の小さな環境があるのかもしれません。
細菌の遺伝子には、硫黄の仲間を使う仕組みがありました。二酸化炭素から、体の材料を作る仕組みもありました。光合成は光を使います。化学合成は、物質の反応から力を得ます。
魚のえらは、水と体の間の出入り口です。呼吸や排出で、細菌が使える物質が集まる可能性があります。だから、えらはこの細菌に合う場所なのかもしれません。
でも、遺伝子があるだけでは、働いた証拠になりません。これから、えらで化学反応が起きているかを直接調べます。この細菌が魚に役立つのか、ただ住んでいるだけなのかも、まだ分かっていません。
魚のえらに、光を使わない細菌?
📰 しっかり版: 魚のえらに「光なしで働ける」細菌? サンゴ礁の遺伝子が示した可能性
サンゴ礁の魚のえらから、ふしぎな細菌の手がかりが見つかりました。
えら(えら)
魚が水の中で息をするための場所。
細菌(さいきん)
とても小さな生きもの。
化学合成(かがくごうせい)
光ではなく、物質を使って力を作る仕組み。
魚は、えらで水から酸素を取りこみます。 えらには、細菌(とても小さな生きもの)もいます。 科学者は、魚のえらの遺伝情報を調べました。 細菌が、太陽の光なしで力を作れそうな遺伝子がありました。 その細菌は、水の中の硫黄の仲間を使うかもしれません。 二酸化炭素から、自分の体の材料を作るかもしれません。 これは、太陽の光を使わない体づくりのような仕組みです。 この仕組みを、化学合成といいます。 でも、まだ本当に動いているかは分かりません。 魚を助けるのかも、まだ分かりません。 これから科学者が、細菌の仕事を調べます。